事業所の
ご案内

横浜市浦舟ホーム

「心の紙袋」を満たす関わり方のこと

記事のイメージ画像

こんにちは。介護福祉士でチームリーダーの太田です。

今回は、ある日の出来事から気づかせていただいたことをお伝えしたいと思います。

きっかけは、自宅での息子(1歳)の姿でした。最近、息子のマイブームは「紙袋を持って歩くこと」。お気に入りの紙袋に、粘土、水筒、絵本……と次々に詰め込んでいくのです。最初は軽々と持っていた袋も、だんだん重くなるにつれて引きずりながら歩くようになる。それでも表情はニコニコ。欲しいものが入った紙袋を抱えて、どこか満足そうにしているんですね。

その姿を見ていた時に、ふとひらめいたことがありました。

——あ、これだ。

職場で見た、介護職Nさんの関わり方と重なったのです。

ある日、90代の女性のお客様をお風呂にご案内しようとする場面がありました。最初、そのお客様は「今日は入らないわ」とおっしゃっていました。ところが40分後、そのお客様はニコニコしながらお風呂場から戻ってきたのです。お風呂場に飾られた富士山の絵に手を合わせながら、「あたたかいお風呂に入れていただきました」と。

いったい何があったのか。

Nさんがしていたことは、いきなりお風呂に誘うことではありませんでした。まず、そのお客様が“心の紙袋に入れたいもの”を先に届けていたのです。

そのお客様は、膝の痛みを抱えながらも健康でいたいという気持ちがとても強い方でした。Nさんはそのことをよくわかっていて、こんな風に話しかけていました。
「お医者さんも仰っていましたが、お風呂に入ると血流が良くなって、膝にもいいみたいですよ。〇〇さんが痛みなく歩けるようになったら私も嬉しいので、入ってもらえたなと思って」と。

すると、さっきまで「入らない」とおっしゃっていたお客様が、「あ、そうね。じゃあ入るわ」と笑顔でおっしゃったのです。

この変化が、すべてを物語っていると思いました。

「お風呂に行きましょう」と伝える前に、その方が大切にしていることに寄り添う。

心の紙袋に欲しいものが入って初めて、人は自分から動き出せる。Nさんの関わりは、そのことを教えてくれていました。

私自身も振り返ると、関わりがうまくいかない時はたいてい、こちらの都合を先に伝えてしまっている時です。いきなり「トイレに行きましょう」「歯磨きしますよ」と。でも大切なことは、その方が何を欲しいと思っているか、何を大切にしているかを先に受け取ることなのだと、改めて気づかせてもらいました。

Nさんの姿から、また一つ学ばせていただいた日でした。